今山大師の弘法大師像

延岡市の「岡富(おかとみ)あたり」は、五ヶ瀬川の北岸に広がる市街地・住宅エリアです。地区名は、昭和初期に延岡町と合併した旧岡富村に由来します。今山のお大師さんと八幡さま、学校、商店街、川沿いの暮らしがほどよい距離にまとまった、延岡らしさの濃い生活圏です。

この記事では、山下町、祇園町、紺屋町、恵比須町、博労町、北小路、高千穂通、幸町、栄町、岡富町、古川町、中川原町、昭和町、桜園町方面までを含む、広めの“岡富周辺の生活圏”として紹介します。

延岡駅やエンクロス、城山公園など、五ヶ瀬川と大瀬川に挟まれた中心部の様子は、別記事「延岡市・川中地区あたりの魅力」で詳しく紹介しています。本記事では、川の北側・岡富あたりの暮らしを主役に、後半では引っ越し屋の目線で確認しておきたいこともまとめました。


今山大師。岡富の暮らしのシンボルになっている小さな山

今山大師の参道の石段

岡富あたりの景色を語るうえで外せないのが、山下町にある今山(いまやま)です。山頂には今山大師寺があり、高さ17mの弘法大師像は日本一の大きさとして延岡市の観光情報でも紹介されています。市街地のどこからでも目に入る、岡富周辺のランドマークです。

今山大師の境内に残る石碑

今山は、養老元年(717年)に延岡地方で最古とされる寺院が創建された場所と伝えられています。毎年4月には「延岡大師祭」が開かれ、九州三大春祭りのひとつといわれるにぎわいの中、大名行列やパレードが市街地を練り歩きます。お祭りの時期だけでなく、普段は散歩やお参りで気軽に登れる、暮らしに近い山です。

今山大師の手水舎

引っ越してきたばかりの時期に、こうした「地域の象徴になっている場所」がひとつあると、街への愛着がぐっと湧きやすくなります。


今山八幡宮と今山恵比須神社。歴史と季節の行事が近い

今山八幡宮の参道の鳥居

今山には、今山大師寺と並んで今山八幡宮があります。今山八幡宮は750年に宇佐八幡から勧請されたと伝わる歴史ある神社で、初詣や七五三など、節目の行事で地域の人に親しまれています。

今山八幡宮の参道から東側の市街地を望む

参道の石段からは、岡富のまちなみを見下ろすことができます。坂と石段を上った先に、毎日の暮らしの風景を眺められる場所がある。これは、平坦な市街地が広がる延岡の中で、岡富あたりならではの魅力です。

今山恵比須神社

境内の今山恵比須神社は、九州を代表するえびす神社のひとつとして紹介されることもあり、商売繁盛を願う参拝者でにぎわいます。

今山恵比須神社の七福神

季節の行事のたびに地域がにぎわう場所が徒歩圏にあると、子どもと出かける先にも、新しい土地で知り合いをつくるきっかけにも困りません。


岡富小学校・岡富中学校。学区は川を挟むので事前確認を

岡富小学校

子育て世帯にとって気になる学校は、岡富小学校が高千穂通に、岡富中学校が本小路(五ヶ瀬川を渡った城山公園の近く)にあります。

岡富中学校

注意したいのは、岡富中学校の校区が五ヶ瀬川の北側だけでなく、川向こうの中心市街地側にも広がっていることです。住む町によって指定校や通学路(橋を渡るかどうか)が変わるため、子育て世帯の引っ越しでは、延岡市の「町別の指定校一覧」で住所ごとの指定校を確認しておくと安心です。


延岡駅と山下通り・山下新天街。駅徒歩圏の便利さ

延岡駅の駅舎(2013年撮影)

岡富あたりの大きな強みは、JR日豊本線の延岡駅が生活圏に入ることです。駅のある幸町は岡富地区の一角で、駅前には現在、複合施設エンクロスが整備されています。駅周辺の詳しい様子は川中地区の記事で紹介しているので、ここでは「岡富側から駅まで歩ける」という距離感だけ覚えておいてください。

山下新天街の入口

駅から今山方面へ向かう山下通り・山下新天街は、アーケードのある昔ながらの商店街です。通り沿いには店舗や金融機関が点在し、幸町2丁目のココレッタ延岡には、地域の会議室や和室を備えた岡富コミュニティセンターが入っています。引っ越し後に地域の活動へ参加したいとき、最初の窓口になりやすい場所です。

山下通りから延岡駅方面

通りには延岡駅や熊本・高千穂方面(国道218号)、大分・宮崎方面(国道10号)への案内標識が並び、岡富あたりが「駅と幹線道路の結び目」にあることが分かります。


五ヶ瀬川と畳堤。水辺の豊かさと、防災の意識

岡富あたりの南の縁を流れる五ヶ瀬川は、散歩やジョギングが気持ちいい、延岡を象徴する水辺です。そして川沿いの堤防の上には、全国でも珍しい「畳堤(たたみてい)」が残っています。

畳堤は、橋の高欄のような高さ約60cmのコンクリート堤に幅7cmの隙間が設けられていて、洪水のときに家庭の畳をはめ込んで水をせき止める仕組みです。大正末期から昭和初期に造られたもので、全国では五ヶ瀬川、長良川、揖保川にしか現存せず、五ヶ瀬川のものが最古と推定されています。現在も船倉町、紺屋町、中央通の一部、祇園町の一部、北町の川沿いに約980mが残り、2015年には土木学会の選奨土木遺産に認定されました。岡富側では、紺屋町・祇園町あたりの堤防で見ることができます。

2005年台風14号による岡富地区の浸水被害

一方で、川が近いことは防災意識とセットです。2005年の台風14号では五ヶ瀬川の水があふれ、岡富地区を含む延岡市内で床上浸水1,170戸・床下浸水253戸という大きな被害が出ました(延岡河川国道事務所の記録)。その後も治水対策は進められていますが、川沿いの物件を選ぶときは、延岡市のハザードマップで浸水想定と避難場所を確認し、1階に置く家財や家電の配置を考えておくと安心です。


引っ越し屋の目線で見る、岡富周辺の住みやすさ

祇園町付近の県道16号

岡富あたりは、駅前・商店街・昔ながらの住宅地・川沿い・山のふもとが混ざり合う地区です。引っ越しの段取りでは、次の点を確認しておくと当日がスムーズです。

1. 駅・商店街エリアは停車位置を先に決める

延岡駅周辺や山下通り・山下新天街の近くは、時間帯によって人と車の流れが変わります。建物前に軽トラックを停められるか、短時間の停車場所があるかを事前に確認しておきましょう。アーケードや一方通行の関係で、建物の正面まで車を寄せられないこともあります。

  • 建物前に軽トラックを停められるか
  • エントランスから部屋までの距離
  • エレベーターの有無とサイズ
  • 階段の幅、踊り場の広さ
  • 管理会社への搬入時間の確認

2. 今山のふもとは、坂道と狭い路地に注意

山下町など今山周辺の住宅地には、坂道や幅の狭い路地が残っています。トラックが家の前まで入れない場合は、停車位置から玄関までの横持ち(手運び)距離が作業時間を左右します。見積もりの際に、家の前の道路写真を送っていただけると判断が早くなります。

3. 川沿いの物件は、橋を含めたルートで考える

五ヶ瀬川を挟んで市役所・城山方面と行き来する暮らしでは、どの橋を渡るかで所要時間が変わります。引っ越しでも同じで、岡富側と川中側をまたぐ運搬は、朝夕の通勤時間帯を避けると流れがスムーズです。

4. 幹線道路が近く、市外への引っ越しも組み立てやすい

岡富・古川方面の延岡西環状線

岡富あたりは国道10号・218号への案内が出る通りが近く、市街地北西側には延岡西環状線のような走りやすい道路もあります。日向市・門川町方面、宮崎市方面、高千穂方面への長距離の引っ越しでも、積み込み後のルートを組み立てやすい立地です。

5. 転入手続きは市役所へ。日程は引っ越し日とずらすと楽

転入・転出などの手続き先になる延岡市役所は、五ヶ瀬川を渡った東本小路にあります。岡富あたりからは橋を渡ってすぐの距離ですが、引っ越し当日は搬入で慌ただしくなるため、役所の手続きは前後の日に分けるのがおすすめです。


岡富周辺への引っ越しで、事前に伝えると見積もりが進みやすいこと

引っ越し相談のときは、次の情報が分かると車両や作業内容を考えやすくなります。

  • 移動元と移動先の住所
  • 希望日、希望時間帯
  • 建物の種類:戸建て、アパート、マンションなど
  • 階数、エレベーターの有無
  • 建物前に車を停められるか
  • 大きな荷物:冷蔵庫、洗濯機、ベッド、タンス、ソファなど
  • 段ボールの数
  • 不用品の有無
  • 荷物の写真、建物前の写真、階段や通路の写真

特に岡富あたりのように、商店街・住宅地・坂道・川沿いが混ざる地区では、住所だけでは分かりにくい停車位置や搬入経路が、写真があると判断しやすくなります。


まとめ:岡富あたりは、延岡らしさを毎日感じられる地区

  • 今山大師や今山八幡宮など、地域の象徴になる場所が徒歩圏にある
  • 延岡駅や山下通りの商店街が近く、駅徒歩圏の暮らしができる
  • 岡富小学校・岡富中学校など学校が生活圏にある(指定校は町ごとに要確認)
  • 五ヶ瀬川の水辺と畳堤という全国的にも珍しい風景がある
  • 国道10号・218号方面へ出やすく、市内外への移動を組み立てやすい

岡富あたりは、派手さよりも、お大師さんの山と川に見守られた、延岡の日常がそのまま残る地区です。延岡市内での住み替えや、県北への転勤・進学で延岡に来る方は、今山の参道から街を一度眺めてみると、この地区の距離感がよく分かるはずです。

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参考情報

この記事の作成にあたり、延岡市公式サイト、延岡河川国道事務所、土木学会選奨土木遺産、今山大師・今山八幡宮の公開情報、Wikimedia Commons掲載写真を参考にしました。詳しくは sources.mdimage-attributions.md をご覧ください。