日南海岸国定公園最南端、都井岬の海岸風景

串間市の最南端、都井(とい)地区を語るうえで欠かせないのが、日本在来の野生馬「御崎馬(みさきうま)」が暮らす都井岬です。柵に囲まれた約500haの草地に馬が放たれ、観光客のすぐそばを悠々と歩く姿はほかではなかなか見られません。岬の先には九州で唯一登れる都井岬灯台があり、海と空と馬と灯台という串間市らしさが凝縮された景色が広がっています。

都井地区は、1954年11月3日に南那珂郡福島町・大束村・本城村・都井村・市木村が新設合併して串間市が発足する以前は、独立した「都井村」でした。いまも地区には都井支所が置かれています。この記事では、御崎馬と都井岬を中心に都井地区の魅力を紹介し、後半では引っ越し屋の目線で押さえておきたいポイントもまとめます。


御崎馬。300年以上、人の手を離れて生きてきた野生馬

放牧地で群れる御崎馬

都井岬の御崎馬は、1697年(元禄10年)に高鍋藩秋月家が福島地方に設けた藩営牧場にルーツを持つといわれています。以来300年以上、ほとんど人の手を加えない自然繁殖のまま命をつないできた、日本在来馬のひとつです。1953年には「岬馬およびその繁殖地」として国の天然記念物に指定され、現在は柵で仕切られた都井岬全体、約500haの放牧地で暮らしています。

体高はおよそ130cm前後、体重はおよそ300kg前後と、サラブレッドよりひと回り小柄な「ポニー」に分類される体格です。毛色は鹿毛・黒鹿毛・河原毛が中心で、足首が黒くなる個体が多いのが特徴。近代的な品種改良がほとんど加えられていないため、江戸時代の在来馬の体つきを今に伝えています。明治時代に藩営牧場が廃止された後も、地域住民が共有財産として守り続けてきたことが、群れが維持されている理由のひとつです。

御崎馬の親子

頭数は年によって増減があり、2011年には馬伝染性貧血の発生で多くの馬を処分せざるを得ない時期もありましたが、保護対策協議会や串間市、宮崎県、国による補助事業を通じた保護活動によって回復し、近年は100頭台で推移しています。出産シーズンは3〜8月、なかでも4〜5月に最も多くの子馬(春駒)が生まれ、よちよち歩きの子馬と寄り添う親馬の姿が見られる一年でいちばん人気の高い季節です。

寄り添う御崎馬の母子

岬で出会う野生馬ガイドは、群れの社会構造(牡馬1頭と複数の牝馬・子馬からなる「ハーレム」群)や地域の歴史を案内してくれます。見学の際は、餌を与えない・体に触れない・車は時速30km以下といったルールが定められています。

草地で過ごす御崎馬

御崎馬は春から夏にかけては小松ヶ丘や扇山など草の豊富な高台で過ごし、秋から冬にかけては海沿いの杉林や雑木林に移動して暮らします。季節によって表情が変わるのも、都井岬を何度も訪れたくなる理由のひとつです。馬はあくまで野生動物なので、観光の際は適切な距離を保ち、餌やりなどは公式のルールに従うようにしましょう。


都井岬灯台。九州で唯一、参観できる灯台

都井岬灯台

岬の先端に立つ都井岬灯台は、1929年(昭和4年)に着工し、同年12月に完成・初点灯した白亜の灯台です。全国に16基ある「参観灯台」のひとつで、九州ではここだけが一般に登ることができます。らせん階段を上った先からは、太平洋の水平線と、放牧地を歩く御崎馬を一望できます。

見上げる都井岬灯台

灯台は鉄筋コンクリート造で、塔の高さは地上から頂部までおよそ15m。標高約240mの岬の上に立つため、平均水面から灯火までの高さはおよそ255mに達します。1945年の戦災で灯室が焼失し、1950年の台風被災を経て現在の第三等大型レンズに更新され、光達距離はおよそ23.5海里(約44km)です。東南アジア方面から北上する船舶が九州本土を最初に視認する目印としての役割も担ってきました。

パノラマで見る都井岬灯台

参観料は大人(中学生以上)300円、小学生以下は無料です。営業時間は午前が通年9:00〜12:00、午後は時期や曜日によって異なり、3〜10月の土日祝は13:00〜17:00、平日は13:00〜16:30、11〜2月は13:00〜16:30となっています(変更されることがあるため、訪問前に最新情報を確認してください)。岬の開園時間自体は、4〜9月が8:30〜18:00、10〜3月が8:00〜17:30です。マイカーで訪れる場合は野生馬保護協力金として駐車料金(普通車1台400円程度が目安)がかかる点も覚えておくとよいでしょう。


都井岬観光交流館PAKALAPAKAとアクセス

旧都井岬観光ホテルの跡地には、2020年4月に都井岬観光交流館「PAKALAPAKA(パカラパカ)」が開業しました。住所は串間市大字大納、営業時間はおよそ9:00〜17:00、レストランのラストオーダーはおよそ15:30、定休日は火曜日(祝日の場合は翌平日以降)です。御崎馬をはじめ都井岬の自然環境を発信する拠点で、地場産品を使ったランチやスイーツ、お土産を販売しています。

館内には野生馬の生態を紹介するミニシアターやVRコーナーがあり、バリアフリーのお手洗いや授乳室も完備。テラス席からは太平洋を望め、串間エコツーリズムの拠点としても利用されています。

アクセスは、JR日南線・串間駅からよかバス(串間市コミュニティバス)の都井岬線で約40〜45分、運賃は200円ほどです。マイカーの場合も串間市中心部から国道や県道を南下する形になり、岬の最奥まで行くにはそれなりの時間がかかります。日帰りでも時間に余裕を持った計画がおすすめです。


都井岬火まつり。夜空に火柱が舞う串間市三大イベント

例年8月下旬には、都井岬イベント広場で「都井岬火まつり」が開催されます(2026年度は8月22日開催予定、荒天の場合は23日に順延)。串間市三大イベントのひとつに数えられる夏の風物詩で、大蛇に見立てた高さ約30mの柱松に、「せこ」と呼ばれる男たちが松明を投げ入れる勇壮な祭りです。高僧が人々を苦しめていた大蛇の口に松明を投げ入れて退治したという伝説にちなむといわれています。開催日は年によって変わるため、最新情報は串間市公式サイトで確認するのがおすすめです。

このほか、2月上旬の「野焼き」(芝の発芽促進とダニ駆除)、9月下旬の「馬追い」(丘陵での個体識別確認)など、御崎馬の保護と結びついた季節の行事が地域ぐるみで行われています。


都井岬の自然環境。ソテツ自生地と御崎神社

ソテツが自生する都井岬の崖

都井岬は御崎馬と灯台だけでなく、植生の面でも貴重な場所です。御崎神社の周辺には「都井岬ソテツ自生地」が広がり、約3,000本のソテツが自然群生し、分布の北限として1952年(昭和27年)3月に国の特別天然記念物に指定されました。崖を覆うソテツと太平洋の青さが織りなす景観は「庭園かと見紛うほど」と評され、1973年には昭和天皇・皇后両陛下もこの自然林を御覧になりました。

崖の中腹に建つ御崎神社

ソテツ自生地の中、断崖の中腹に小さな社殿を構えるのが御崎神社です。708年(和銅元年)創建と伝わる古社で、海の神・綿津見神(わたつみのかみ)を祀り、航海安全や漁業の神として崇敬されてきました。社殿は無人ですが、正月三が日には社務所が開かれ、御朱印やお守りを授与しています。


都井地区の漁業と暮らし。トビウオすくいと海とともにある日常

都井地区は観光地である以前に、海とともに生きてきた漁師町です。トビウオ漁の歴史は古く、平安時代の法典「延喜式」には串間から朝廷へ干したトビウオが献上された記録が残るとされ、元禄期には種子島から網漁の技術も伝わりました。伝統漁法を体験できるのが「観光とび魚すくい」で、例年6〜9月頃の夏の夜、漁船で沖に出て集魚灯にトビウオを集め、飛んでくるトビウオを大きな手網(タモ)ですくい上げます。「太平洋の金魚すくい」とも称され、すくった魚はその場で持ち帰って味わえます。

串間市は2014年に「串間エコツーリズム推進協議会」を発足させ、2017年に「串間エコツーリズム推進全体構想」が国の認定を受けました(2023年再認定)。トビウオすくいや都井岬野生馬ガイド、漁師体験など、海・山の一次産業に触れるプログラムも提供されています。

放牧地で草を食む御崎馬

引っ越し屋の目線で見る都井地区

都井岬のパノラマ風景

ここからは引っ越し屋の目線です。都井地区は串間市の中心部からさらに南へ離れた、岬の先端に位置する地区です。観光地ならではの道路事情や、移動時間の長さを踏まえた事前準備が、当日のスムーズさにつながります。

1. 移動距離・移動時間に余裕を持った日程相談を

私たち赤帽ドーズキャリーサービスの拠点(宮崎市青島西)から串間市中心部までは、国道220号経由でおよそ100分前後が目安です。都井地区は串間市中心部からさらに南へ離れているため、実際の所要時間はこれより長くなります。引っ越し当日の作業時間を確保するためにも、見積もり段階で「都井地区まで」とはっきり伝えていただき、余裕のある日程・時間帯をご相談ください。

2. 岬へ向かう道は山道・海沿いの道が中心

都井岬へ向かう道路は、海沿いや高台を縫うように走る区間があり、見通しの悪いカーブや道幅が限られる箇所も含まれます。大型トラックでの搬入が難しい現場もあるため、軽トラックでの小回りが利く赤帽の強みが生きる地区です。とはいえ、車両がすれ違えるかどうかは現地の道幅次第なので、自宅前の道路の写真を事前にいただけると、当日の動線をスムーズに計画できます。

3. 観光シーズン・火まつりの時期は混雑に注意

御崎馬の出産シーズン(4〜5月)や夏休み、8月下旬の都井岬火まつり前後(2026年度は8月22日開催予定)は、観光客の往来で道路や駐車場が混み合うことがあります。この時期に都井地区周辺で引っ越しを予定している場合は、観光客の少ない午前の早い時間帯に作業を始める、混雑が予想される道を避けるルートを検討するなど、時間帯の調整をおすすめします。

4. 転入手続きは都井支所、または串間市役所本庁へ

串間市役所の本庁(串間市大字西方5550)の市民協働課は、平日8:30〜17:15が受付時間です(土日祝・年末年始を除く)。都井地区には都井支所(串間市大字都井4756、電話0987-71-4011)が置かれており、住民票など住民登録に関する一部の手続きの窓口として利用できます。本庁まで出向かなくても地区内で済む手続きがあるのは心強いポイントです。取り扱える業務の範囲は変更されることがあるため、転入届などの詳しい手続き内容は都井支所または串間市役所(0987-72-1111)に事前にご確認いただくと確実です。

5. 子馬の見学シーズンや祭りの予定も気軽にお話しください

都井地区への引っ越しは、観光や子育て、漁業関連のお仕事など、理由はさまざまです。御崎馬の出産シーズンに合わせて家族で見学を予定している、火まつりの時期は地域の行事で忙しい、といった事情があれば、見積もりやスケジュール相談の際にぜひ教えてください。地域の年間行事を踏まえたうえで、無理のない引っ越し日程をご提案します。

6. 漁業関係のご家庭は作業時間帯・塩害対策もご相談を

都井地区には漁業を生業とする世帯も多く、夏場の夕方から夜の出漁や早朝の水揚げ作業など、一般的な生活リズムとは異なる時間で動いている方も少なくありません。事情があれば見積もり時に共有いただくと作業時間帯を調整しやすくなります。また海に近い高台の住宅では潮風による金属部分の劣化も起きやすいため、室外機や自転車の屋外設置場所についても事前にご相談ください。

7. 見積もり時に伝えるとスムーズなこと

  • 移動元と移動先の住所(都井岬周辺は番地まで分かるとより正確です)
  • 希望日と時間帯(観光シーズン・火まつり前後、漁の時間帯は余裕を持って)
  • 建物の種類、階数、駐車スペースの有無
  • 自宅前の道路の幅、すれ違いが可能かどうか
  • 冷蔵庫、洗濯機、ベッドなど大きな荷物の種類
  • 荷物・建物前・通路の写真

まとめ:野生馬と灯台が日常にある、串間市最南端の地区

都井岬の海岸線

都井地区は、国指定天然記念物の御崎馬、九州で唯一登れる都井岬灯台、観光交流館PAKALAPAKA、火柱が舞う都井岬火まつりと、串間市を代表する観光資源が集まる地区です。同時に、串間市中心部からは離れた立地のため、引っ越しの際は移動時間や道路事情を踏まえた準備が欠かせません。

赤帽ドーズキャリーサービスでは、単身引越し8,000円〜、単身引越しパック2時間13,500円〜のプランで、都井地区を含む串間市内・市外への引っ越しに対応しています。電話受付は8:00〜20:00(0120-931-677)、メールは[email protected]でも承っています。岬の先まで距離がある地区だからこそ、事前の写真共有と余裕を持った日程相談が安心につながります。お気軽にご相談ください。

参考にした情報は sources.md、写真のクレジットは image-attributions.md にまとめています。